土壌が整えば、収量は応える――薩摩酒造・生産部の視点から見た、2025年度さつまいも生産の実像
- 22 時間前
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鹿児島県枕崎市でさつまいも栽培農家を行いながら、 有限会社サザン・ファームにも所属している山﨑さんへインタビューを行った。25年度のさつまいも生産は、「全体としては良かった年だった」と振り返られる。その要因を特定の技術や品種に限定せず、 天候・品種選択・土壌状態・工程管理が重なった結果として捉えている。

25年は台風の影響が少なく、天候にも恵まれた。前年のように気温が上がりすぎて後半に失速することもなく、収量が最後まで大きく落ちなかった点は、全体としても特徴的だった。
一方で、品種ごとの差や、新たな病気の兆候も見え始めている。現場の感覚だけでは見えにくい「構造」と「傾向」を、生産側の立場からどう見ているのか。 その視点が、今回のインタビューの軸となった。
「25年度は、全体として良かった年だった」
Q|まず、今年のさつまいも生産を全体としてどう捉えていますか?
山﨑さん
25年度は、全体としては良かった年だったと思います。収量も計画を上回ったところが多く、他加工業者でも「計画以上に集まった」という声が出ています。
台風が来なかったことも大きいですし、天候条件としては、比較的恵まれていました。
ミチシズクは「収穫に差が出た」、コガネセンガンは「安定していた」
Q|品種別に見ると、どのような傾向がありましたか?
山﨑さん
ミチシズクは、収穫量にばらつきがみられました。一方で、コガネセンガンは、基本的に安定した収量が得られました。天候条件の良さもありますが全体的に良好な結果となっております。
コガネタイガンも、特性としてはミチシズクよりコガネセンガンに近いと感じています。
「天気が一番」という、シンプルながら本質的な事実
Q|収量を左右した最大の要因は何だったと見ていますか?
山﨑さん
やはり一番は天気です。24年は気温が上がりすぎて、後半に収量が低下してしまいましたが、 25年は最後まで量が減らなかった。暑すぎると、さつまいもの生育に影響が出ます。その意味でも25年は条件が整っていました。
新たに見え始めた「茎根腐細菌病」という課題
基腐病の次に、現場で話題に上がり始めているのが「茎根腐細菌病」だ。
Q|最近、茎根腐細菌病の話も聞きます。山﨑さんとしてはどう見ていますか?
山﨑さん
茎根腐細菌病は、少しずつ出てきています。特に遅植えの畑でよく見られ、まだ原因ははっきりしていません。
根からの感染という点で、葉から入る基腐病とは性質が異なります。見た目に問題がなくても、収穫してみたら肥大していなかったというケースもありました。
土壌と資材|「効いている」という実感はある
Q|土壌対策や資材については、どう評価していますか?
山﨑さん
ハイパーリフレッシュSやバイオバランスECOは使っています。また、種芋やメリクロンの選定によっても、結果は大きく変わります。
単一の対策だけでなく、土の状態を安定させることが、最終的な収量向上に繋がってると考えています。
「酒造は、農業と切り離せません。」
農家へのインタビューでは「芋が良くならないと地域は盛り上がらない」という言葉があった。それを受ける形で、山﨑さんは酒造側の立場をこう整理する。
Q|酒造・生産部は、今後どんな役割を果たすべきだと考えていますか?
山﨑さん
酒造も、農業と切り離せません。芋が安定しないと、焼酎づくりの計画も成り立たなくなります。だから、品種、土壌、工程、需給まで含めて、農家と同じ目線で考えていく必要があると思っています。
さつまいもは「作物」ではなく「構造」で見る時代へ
25年度は結果として良い年だった。しかし、それが毎年続く保証はない。
天候に左右される作物だからこそ、土壌を安定させ、工程を積み上げ、農家・加工業者・酒造が連動する構造をどうつくるかが問われている。
山﨑さんの言葉は、派手な成功談ではなく、今後の不確実性に対応するための実践的な提言であった。
取材協力
有限会社サザン・ファーム 山﨑さま
株式会社welzo 古賀正治さん



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