サツマイモの魅力を広げるために 品種×地域で新たな価値の創出を
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- 20 時間前
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産学連携コンソーシアム「みんなのサツマイモを守るプロジェクト–Save The Sweet Potato–」(SSP)が今秋、福岡市内で2回にわたって開催した「イモマモフェス」。
2回目はスイーツ編として「五感で味わう、さつまいもの魅力」をテーマに開催。管理栄養士で「おいもクリエイター」のえなりん氏、青果用サツマイモを扱う農業法人「くしまアオイファーム」社長の奈良迫洋介氏、飼料・農園芸資材の商社「welzo」取締役でSSP代表の後藤基文の3人が登壇しました。焼酎編に続き、フリーアナウンサーの鳥越佳那氏が司会を務め、地域活性化をからめたサツマイモの可能性や今後のアイデアを話し合いました。
ポテンシャル高い「頼れる食材」
司会・鳥越佳那氏(以下、鳥越氏) 前回の焼酎編に続き、今回はスイーツ編です。まずゲストの皆さんはサツマイモのどんなところに魅力を感じていらっしゃるのでしょう。
管理栄養士・えなりん氏 一言で言い表せませんが、準完全栄養食と言われるくらい栄養素がすごく豊富な作物であるところです。おいしいだけじゃなくて、頼れる食材と思っています。

「おいもクリエイター」えなりん氏
鳥越氏 すごく共感します。サツマイモはいろんな感情や体のコンディションの時でも寄り添ってくれるような気がします。
くしまアオイファーム社長・奈良迫洋介氏(以下、奈良迫氏) 作り手としては、サツマイモを売り出すときに「赤ちゃんからお年寄りまでのスーパーフード」と伝えています。おかずにもデザートにもお酒にもなり、食卓のあらゆる場面に登場できる。これほどポテンシャルのある農作物はないと思っています。

SSP代表・後藤基文(以下、後藤) サツマイモを食べることは、少し大きな話をすると、地球からの恵みをそのままいただいているような気持ちになります。スーパーフードと呼ばれるのも納得で、私にとっては、食べるだけで自然と元気をもらえる存在です。
「毎日の食卓に取り入れて」
鳥越氏 皆さん共通しているのは「食べて元気が出る」ということですね。そんなサツマイモに特化した会社、くしまアオイファームさんはどのような会社なのでしょう。
奈良迫氏 サツマイモ農家の創業者が2013年に法人化した、農家のための農家による会社です。宮崎県串間市に拠点を置き、沖縄県宮古島市や茨城県神栖市でも生産しています。従業員は約120人に上り、地元の小中学校とのコラボや地方創生にも取り組んでいます。

くしまアオイファーム社長の奈良迫洋介氏
鳥越氏 つくるだけでなく、サツマイモで町おこしにも取り組んでいるのですね。サツマイモで人々を盛り上げる点では、えなりんさんもSNSでの発信に力を入れていらっしゃいますよね。
えなりん氏 レシピ動画を中心に、栄養面も紹介しています。昔からサツマイモが好きだったので、毎日の食卓に取り入れてほしいという思いから、スイーツだけでなく主食やサラダ、飲み物など、さまざまなジャンルのレシピを紹介しています。

さまざまなレシピを紹介するえなりん氏のInstagram
近年注目の「栗かぐや」とは
鳥越氏 近年は多様な品種が登場し、ファンを楽しませています。今日は「栗かぐや」というサツマイモにも焦点を当てます。どのような品種でしょうか。
奈良迫氏 栗かぐやは比較的最近、品種登録されたサツマイモです。世間的には、ねっとりした食感を好む人が多い印象ですが、栗かぐやは基本、ホクホクとした食感です。ただ、時期や貯蔵方法によっては、ねっとりにもなり、好みに合わせてカスタマイズもしやすい点が特徴です。
焼き芋の断面は満月のような鮮やかな黄色で、味と見た目の両方で楽しめる一押しの品種です。

生の栗かぐや 写真提供: photoAC
鳥越氏 栗かぐやはどんな料理に向いていると思いますか。
えなりん氏 ホクホク系の天ぷらや煮物といったおかずに加え、ホクホクとねっとりのいいとこ取りのコロッケにも向きます。上品な甘さで、ずっと食べていても飽きがこないのもいいところだと思います。
鳥越氏 実は本日、えなりんさんが栗かぐやを使ったスイーツのレシピを考えてきてくださったんですよね。
えなりん氏 はい。今回が初披露なのですが、栗かぐやを使った「栗かぐやのほうじ茶トリュフ」というスイーツを考えてきました。

えなりん氏考案の「栗かぐやのほうじ茶トリュフ」
上品な甘さを活かすためにほうじ茶パウダーを合わせ、ちょっとほろ苦い、大人のトリュフというイメージで、甘いものが苦手な人でも食べやすいスイーツになるように仕上げてきました。このあと、会場の皆さんにも味わってもらいたいと思っています。
品種や産地に合わせた調理を
鳥越氏 ここまで栗かぐやに焦点を当ててきましたが、サツマイモには多くの品種があり、それぞれに合うメニューがいろいろ考えられるということでしょうか。
えなりん氏 まさにその通りです。いつもそのように考えて、なるべくその料理に合った品種を使うことを心がけています。まずは自分の好みを知ることが大切です。どんな品種のどんな食感と甘さが好きかを把握して買いに行くと、おいしい料理にたどりつきやすいと思います。
鳥越氏 奈良迫さんはえなりんさんのお話を聞いて、どう感じられましたでしょうか。
奈良迫氏 生産者の視点で言うと、レシピ開発をやりたいと思っても、ありきたりな案にとどまりがちです。品種に合わせてメニューを考えるえなりんさんの視点はとても大事だと思います。
弊社では、産地に合わせたレシピ開発に関心を持っています。その地域でしか食べられないサツマイモスイーツみたいなものをつくって提案することで、その地域から全国に向かってサツマイモのファンをさらに広げていくようなことが出来たらおもしろいなと思っています。

生産者としての思いを語る奈良迫氏
鳥越氏 品種に合わせたレシピだけでなく、産地に合わせたレシピもあるということですね。
サツマイモと地域の魅力を
えなりん氏 その土地でしか食べられないような価値がつくりだせると、またサツマイモの世界の魅力が広がっていきそうです。産地の活性化にもなりますね。
後藤 サツマイモと地域をマッチングさせて魅力を深めていくのは非常におもしろいです。先週の焼酎編で取り上げたのですが、焼酎蔵をバスで巡るツアーのスイーツ版のように、地元のシェフや料理家がその土地ならではの視点でスイーツを提供するツアーというのもアイデアとして考えられます。イベントの時だけの限定スイーツとして、あるいは定番スイーツとして、地域とスイーツを一緒に存分に味わうといったような体験がつくりだせるとおもしろいのではないでしょうか。

welzo取締役でSSP代表の後藤基文
鳥越氏 それは楽しいアイデアですね。その土地に住んでいる方だからつくれる味わいというものがありますよね。
えなりん氏 お互いの視点から「このサツマイモをどう解釈してスイーツにするか?」という意見交換の場があってもいいかもしれないと思いました。お互いにとって刺激になるように思います。消費者も交えて、共同作業として、今の時代らしい郷土料理やスイーツを考えたりするのも楽しそうですね。
後藤 日本人だけでなく、海外からの旅行者にも参加してもらい、その場でリクエストを聞きながら即興でスイーツをつくるような演出なんかも考えていけば、より楽しいものになるのではないでしょうか。
鳥越氏 こうやって考えていきますと、夢がどんどんふくらんでいきますね。
日本のサツマイモを世界へ
鳥越氏 最後に、今後の活動への抱負も教えてください。
えなりん氏 全国には本当においしいサツマイモがたくさんあります。本日のお話の中にもありましたが、それぞれの地域の特徴に組み合わせながら、地域の活性化にもつながるようなことにも取り組んでいきたいです。

スイーツづくりの実演も行われた
奈良迫氏 私はくしまアオイファームに入る前、サツマイモの輸出に携わり、世界中のサツマイモを食べ歩いてきましたが、日本のサツマイモが一番おいしいと感じています。日本のおいしいサツマイモを世界に届けたいというのが夢であり、会社としてもやりたいことです。
そのためにも、多くの人々にサツマイモをもっといっぱい味わっていただきたいです。それが、未来に向けてお願いしたいことでもあります。
後藤 海外のサツマイモ需要ということでは、特に東南アジアで日本のサツマイモは受け入れられていると聞きます。足りないほどともいわれます。
メイドインジャパンのサツマイモをもっと多くの人に届けることに加え、サツマイモの食べ方や地方の食文化に関わるところでの発信や活動にも、ゆくゆくはSSPとして取り組んでいきたいと考えています。

トークイベントの登壇者ら。右端は司会の鳥越佳那氏
(構成・デザイン さつまいもニュースONLINE)



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