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“干しいもで町を変える。” 陽(あかり)が描く、サツマイモの未来

  • 執筆者の写真: R S
    R S
  • 5月27日
  • 読了時間: 3分

更新日:5月29日

2025年春、新たにSave the Sweet Potato(SSP)に参加したスイートポテトブランド「陽(あかり)」。その専務である江藤さんは、干しいも界の革命児といっても過言ではない存在だ。水産加工業の技術を起点に、今では焼き芋・干しいも・健康食品・芋焼酎まで手がける多角的な展開で、地域の農家や加工業者、そして町全体に希望の光を灯している。





安納芋から始まった、干しいもの挑戦


干しいもとの出会いは15年以上前。安納芋の在庫処理を頼まれ、「子どもがバクバク食べた」その味に可能性を感じたのが始まりだった。粉が吹いていない干しいもは当初市場で受け入れられず、「これは干しいもじゃない」と何社にも門前払いを受けた。しかし、東日本大震災で茨城産の干しいもが出荷困難になった際、九州産に注目が集まり、一気に転機が訪れる。紅はるかを干しいもに加工した先駆者として、江藤さんの存在は業界に衝撃を与えた。




紅はるかを超える衝撃、"あまはづき"の登場


「15年探し続けてやっと出会えた」と語るのが、新品種“あまはづき”だ。掘った瞬間から甘く、ねっとりしており、貯蔵しなくても高い糖度が出るという。「干しいも三兄弟の“3つ目”がようやく揃った」と語る江藤さん。収穫までわずか120日、さらには貯蔵のハードルを越えれば、干しいもや焼き芋が“夏でも”安定して提供できるという画期的なポテンシャルを秘めている。


干しいもを「産業」に。農家との共創で地域を守る


干しいもをただの商品ではなく、「町の産業」にまで引き上げるのが陽(あかり)の目指すところ。高齢化や基腐病の影響で廃業寸前の農家も多いなか、「農家さんがもう一度希望を持てる作物にしたい」と語る。実際、陽(あかり)では、腐っても無言で引き取り、農家に負担をかけない方針を貫いている。

都城市や日向市の若手農家と連携し、地元での循環型経済を目指す取り組みも進行中。干しいもの作り方を惜しみなく共有し、ふるさと納税への展開や新規スイーツ開発にも挑戦している。


SSPへの参加、そして基腐病への想い


江藤さんがSSPに参加を決めたのは、活動の理念が自らの想いと重なったからだ。 「サツマイモ経済圏を持続させるには、加工業者が努力しないといけない。農家が安心して作れる環境を、我々が整える。それが使命だと思っています。」

基腐病の脅威は、サツマイモ業界全体に大きなダメージを与えてきた。宮崎や鹿児島では多くの農家が離農し、加工業者も廃業した例は少なくない。江藤さんは、行政や経済連の“動かなさ”にも苦言を呈しつつ、「民間が動くしかない」と言い切る。


未来へ——干しいもがつなぐ人と地域と経済

「陽(あかり)」はただのスイーツブランドではない。地域の技術、農家の情熱、そしてサツマイモという作物の価値を、食と経済の力で未来につなぐ起点だ。干しいもは“保存食”としての魅力だけでなく、“希望の食”として、多くの人に勇気を与えてくれる。





江藤さんコメント


「干しいもって、ただの保存食じゃない。 地元の農家を支え、地域に仕事を生み、町を元気にできる力があるんです。 今まで“売れなかった芋”を、加工によって“売れる商品”に変えていく。 それが自分たちの役割であり、使命だと思っています。

今回のあまはづきのように、希望のある品種に出会うことで、農家さんがもう一度チャレンジしようと思える環境がつくれる。 大事なのは“できない”と決めつけず、“どうやったらできるか”を考え続けること。

延岡には“作る技術”はある。でも“売る力”が足りない。だからこそ、自分が動くことで地域を変えていきたい。 ひとりの力は小さいかもしれませんが、それを見た誰かが一歩踏み出すきっかけになれば。干しいもで、町の未来を明るくしたい。それが、陽(あかり)としての想いです。」

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