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「サツマイモ基腐病を知ってもらい、応援需要を生み出したい」酒類卸売業の名門「岡永」がプロジェクトに賛同した理由

東京・日本橋馬喰町で酒類卸売業を営む、株式会社岡永。日本酒市場の中で消費に陰りが出始めていた地酒を復興させた立役者です。その事業は日本酒だけでなく焼酎やワインにも及び、日本の食文化の中のお酒のあるシーンをプロデュースしています。


同社マーケティング室の飯田永造室長、企画部の田村哲夫部長に、酒類卸売業から見たサツマイモ基腐病の現状や課題についてうかがいました。


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――株式会社岡永の事業内容について教えてください。


マーケティング室の飯田永造室長


飯田氏:岡永は現在、酒類卸売業をしておりますが、1884年(明治17年)に創業した当初は醤油・味噌・酒の小売業でした。


高度経済成長期に大量生産・大量消費の流れの中で、地方の酒蔵の日本酒が市場から消えるのではという危機感を抱いたのです。地方の日本酒、地酒がたくさんあっても、全然知られてないような状況だったんですね。今では評価され人気の高い地酒でも酒屋さんに「こんな酒を持ってこられても困る」といわれることもあったようです。


そこで「ほんものの美味しい日本酒を愛飲家に届けよう」と、1975年(昭和50年)に酒蔵や酒販店によって組織される「日本名門酒会」を発足させました。地域によっていろんな良いお酒があるということを全国の人に知ってもらうことを目的に活動し、今では全国20余りの支部卸、120余りの蔵元、1,500余りの酒販店が参加しています。



――御社では「お酒のある豊かな暮らしと食の文化を創造する」をビジョンに掲げられていますね。


飯田氏:出汁や醤油、味噌など、食文化が地域によって違うように、お酒も地域によって違います。その地域で愛されているものは、その地域の食文化に寄り添っていると言えるでしょう。 お酒は嗜好品なので、正直、生きるのに絶対に必要なものではない。でも、食事に合わせたお酒を楽しむなどして、飲む人の心が少しでも豊かになればいいと思い、活動しています。


お酒を販売するだけでなく、地域ごとにあるお酒の個性やストーリー、作り手の皆さんの思いを交えながら、日本の食文化の中にあるお酒というものをより多くの方に知ってもらえたらと思っています。



――「日本名門酒会」の具体的な活動を教えてください。


飯田氏:年に1回、全国の蔵元さんや酒屋さんが集まる全国大会を開催しています。お酒の味わいは年により変わる場合があるので、品質管理委員会でその年の質を判断しています。ブラインドで試飲をし、酒質を判断して、蔵へフィードバックするのです。



企画部の田村哲夫部長


田村氏:酒屋さんの店頭での試飲会や、飲食店さんでの試飲イベントなども活動当初から続けています。お酒というのは、とにかく一度、体験してもらわないと広がりませんからね。



――今回、SAVE THE SWEET POTATOプロジェクトにご賛同いただいた理由を教えてください。


飯田氏:実は日本名門酒会では、焼酎も扱っています。芋焼酎についてはコロナ禍による消費減があったので、サツマイモ基腐病の影響による減産で取扱量が減ったということはなかったのですが、試飲会などで一部の蔵元さんから、サツマイモ基腐病が発生していて、かなり不安だと聞いていたのです。「今期、どれだけ作れるかわからないです」という話もありましたね。


しかし、我々は酒もサツマイモも作っていない。何かできることがあるんだろうかと思っていたときに、たまたま、このプロジェクトの記事を拝見したんです。少しでも多くの方に知ってもらう活動であれば、お力添えできる部分があるのではと思い、参画を決めました。



――サツマイモ基腐病の現状について、どういった点が課題だと感じていますか。


飯田氏:私どもは農業のことは一切わからないんですが、一つには認知されていないという問題があるだろうなと感じています。南薩摩のように大きな被害が起きている蔵元さんであれば、深刻な問題として対応している一方で、それ以外のエリアではそこまで深刻に受け止められていない。しかし、他のエリアでもいつ発生するとも限らないわけです。そうした意識の差を埋めるために、このプロジェクトのように対策を集約する場所があるのは大切だと思います。


田村氏:今回のサツマイモ基腐病でご当地メーカーがいかにコガネセンガンを大切にしてきたかがわかったと言えるのではないでしょうか。基腐病に強い品種を作るのも良いのですが、芋焼酎はやはりコガネセンガンで作りたい。他の品種では代替にならない。なのに、このサツマイモ基腐病で離農するコガネセンガン農家さんが出てきているということを聞いてゾッとしています。


飯田氏:離農が進んだら、お酒だけでなく食べ物も味わえなくなってしまう。食文化の元はやはり農家さんですからね。



――サツマイモ基腐病の現状に関して、焼酎業界や酒販店さんなどから、どんな声が寄せられていますか。


飯田氏:やはり南薩摩の蔵元さんは相当悩んでいらっしゃいますよね。あるとき、東京での試飲会で南薩摩の蔵元さんは「今日、地元は雨らしいんですよ」って心配していらした。「雨で菌が広がるから心配だ」と言っていたんです。一方で、酒販店や飲食店の方はほぼ知らないですね。業界紙をきちんと読んでいれば把握できますが、そうでなければ知らないし、知ることもできないんですよね。


ただ、そもそも焼酎の需要自体も減ってきていて、元から苦しい業界ではあるのは確かです。しかし、サツマイモ基腐病をきっかけに芋焼酎のことを知ってもらって、応援需要のようなものが生まれて「飲んだことなかったけど芋焼酎美味しいじゃん」と広まっていくといいなと思います。



――御社もしくは日本名門酒会として、どういったサポートをしていきたいとお考えでしょうか。


飯田氏:一般の消費者はもちろんのこと、普段から焼酎を飲む人ですらサツマイモ基腐病のことを知らない方がほとんどですよね。サツマイモ基腐病のことをより多くの人に知ってもらうことが、焼酎蔵の応援にもつながるでしょうし、その先の農家さんの応援にもつながると思っています。


我々としてはそうした消費者の認知度アップの部分で協力していこうと考えています。まだサツマイモ基腐病のことを知らない酒販店さんに説明して、応援販売的な売り場を作ってもらうとか、お客さんに話をしてもらうというような地道な活動を通じて、認知を広げていく活動をしていきたいですね。

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