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「土壌の改善が有効な手段」株式会社welzo古賀正治さんが語る、サツマイモ基腐病が広まった背景と対処法

更新日:2023年11月8日

南九州を中心にまん延する、サツマイモ基腐病。問題が深刻化する理由として連作障害や気候変動も挙げられますが、実はそれだけではないさまざまな要因があるとされています。


全国で栽培指導や産地形成をおこない、サツマイモ基腐病の現状にも向き合う、株式会社welzoの古賀さんに、有効な対処法について聞きました。



さまざまな要因でまん延するサツマイモ基腐病

――そもそも「サツマイモ基腐病」は何が原因で発生する病気なのでしょうか。


簡単に説明すると、糸状菌(カビ)の一種がサツマイモに付着して発生する病気です。


サツマイモ基腐病は、もともと日本には存在しませんでした。1912年頃にアメリカで初めて発生が確認され、さまざまなルートを経て2000年代にはアジア地域で広がり台湾を経由し、沖縄から鹿児島に上陸したと考えられています。


初めて日本で発見されたのは2018年秋ですが、本当はずいぶん前から入ってきてたんじゃないかという話もあります。また、異常気象(温暖化)に伴い、病原菌の活性温度帯と適合してきたこともあり、急速に広がったのではないかと言われています。


――サツマイモ基腐病はどのように感染していくのでしょうか。


基腐病に感染する経路は、大きく分けて2通りあります。


一つは、ツルの傷口(農作業や暴風雨などにより発生した)からの感染です。成長の段階で通路にツルが伸長し病原菌を含んだ土や水に触れた際、ツルの傷口から病原菌が侵入するケースです。また、定植した苗の地際の傷口から感染することもあります。


次に、基腐病に感染した定植苗から発症するケースです。


それ以外にも、残渣が原因で感染が起こります。収穫後に残った小イモや根・茎などが残渣となるのですが、翌年15〜35℃(適温28~30℃)の温度帯になるとその中で休眠していた病原菌が活性化し発病します。本来残渣処理の時期については、サツマイモの場合、収穫後約2週間以内に行います。加えて地温が20℃前後の間に耕耘し残渣処理を行うべきなのですが、ちょうどその時期は収穫に追われ手が回らず、残渣処理を行えないのが現状です。


――サツマイモ基腐病がここまで広がった理由はどういったことが考えられるのでしょうか。


土壌環境の問題が大きいと考えられます。近年、収穫量を増やすために化学肥料を使用する事が常態化し、また病気の防除には、人間にとっても危険な劇物なども使用してきました。そういったことを長年繰り返してきたことで、土壌自体に相当なダメージが蓄積してきたと考えられ、加えて、効果が不安定な堆肥(特殊肥料登録)の使用も要因の一つと考えられます。特に九州は畜産が盛んな地域であり、牛や鶏などの糞尿を利用した堆肥が数多く販売されておりますが、その大半は、土壌改善効果が低く、その中でも未熟に近い堆肥を使い続けると逆に病原菌が増殖し、病気が発生し易い不健全な土壌になったと考えられます。


他にも畑の排水性の問題も原因として挙げられます。基腐病は水を媒体として拡散しますが、特に南九州は台風や豪雨などが多いことから、病気が広がり易い環境であると言えます。 更に長年、農業機械で耕耘作業を行うことで 作土直下に硬い耕盤層が形成され 排水性が悪化し、その結果、基腐病がまん延したのではないかと考えられます。



土壌を健全化することが有効な対策

――農薬を使ってサツマイモ基腐病を防いだり、治したりすることはできないのでしょうか。


現在、サツマイモ基腐病に対しての特効薬は無く、ある普及所では予防薬として定期的に農薬を散布するよう指導していますが、サツマイモ農家さんは1人で20〜30町歩という広大な畑を所有している方が多く、サツマイモは他の作物に比べ反収が低いため、費用負担の占める割合が高い農薬を全ての畑に散布する事は現実的に難しいと言えます。


こういった現状を考えると土壌の改善を行うこと「土壌の健全化」を図ることがサツマイモ基腐病の根本的な解決法ではないかという結論に至りました。


――“土壌を健全化していく”とはどういうことなのでしょうか。


土壌の健全化とは簡単に言えば、弱った土壌=不健全な土壌を健康な状態に戻すという事です。不健全な土壌では土壌内の病原菌が増殖し易く、病原菌がある一定の量を超えると病気が発病します。土壌の健全化=病気が発生しにくい環境づくりを行うためには、土壌改良資材などを使用して、菌バランスの維持(土壌内の優良菌を増やす。)を図ることで、病気の発生を抑制できると考えています。


――他にはどんな対処法が考えられるのでしょうか。


サツマイモ基腐病の耐性品種に変えることも有効な手段と言えます。例えば、「黄金千貫」の後継品種である「みちしずく」はサツマイモ基腐病の耐性品種です。耐性品種に変えることで、基腐病にかかりにくくなります。


――このプロジェクトを通じて、古賀さん自身はどういったことを発信していきたいと考えていますか。


弊社は、サツマイモを栽培されている農家さんの深刻な問題である「基腐病」の対策として、「土壌の健全化」を掲げ活動を行って来ましたが、他の作物においても「土壌病害」に苦しんでいる方が全国に多くおられます。そのような農家さんの皆様にも同様に私どもは寄り添い、覚悟を持って取組み、お役立て出来るよう邁進して参りたいと考えております。


昔から農業は「土づくり」からと言われる程、野菜作りには「土づくり」が最も重要です。ご存じの通り、「みどりの食料システム戦略」では2050年までに化学農薬・化学肥料の使用量低減、有機農業面積を拡大するなど具体的な取組みを掲げています。   


よって私どもも農薬や化学肥料に頼らないグリーンな栽培体系【環境にやさしい栽培技術】の実践に向けた取り組みを進めております。

先ずは、農業において最も重要な「土づくり」に特化し、土壌改良資材や有機肥料などを用い健全で肥沃な土壌に再生することで、今後100年持続可能な農業「減農薬で且つ美味しい野菜作り」の実現を皆様とご一緒に目指したいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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